蒼レウスのキックについて考える
2013年11月7日コメント (2)赤レウス「お姉さま、あれを使うわ」
蒼レウス「ええ、よくってよ」
別に原種でも希少種のキックでも一緒なんですけど。
多くのプレイヤーがこの攻撃をクソ技と思ったことでしょうが、
何故この技が理不尽に感じられるのかをちょっと真面目に考察してみます。
*
■前提;推定技仕様
1・ターゲットに向かって軸合わせをする(当然追尾アリ)
2・後ろに大きく下がる(この間ターゲットへの追尾ナシ)
3・勢いよくキック開始、この際前方の一定角度内にターゲットがいればそちらに方向補正
4・キック中、3でターゲットを捉えていればそちらに追尾
何度かよけたりくらったりした感じだとこんな挙動に見えますね。
前回書いたように2の途中で側転すれば意外と明後日の方向に飛んでいきます。
つまり攻撃可能範囲がイチョウの葉状に広がり一定以上離れると逆に危険、軸合わせを見てからかわせば比較的容易に回避可能という、かなり普通の突進に近い攻撃です。
たぶん。
突進をよけるのはモンハンの基本ですよね。
ではなぜこんなにもクソ技なのか。
調整の問題よりも、いくつか必然的にストレスを与えてしまう要素があるように思えます。
・キックがプレイヤーに与えるリスクに対し、回避後のリターンが少ない
まあ真っ先に感じるのはこれでしょう。
くらったら体勢を立て直すためにエリアチェンジ必須レベルの攻撃なのに、(特に青い子は)キック後も滞空を続けることが多く、回避しても攻撃チャンスにならない。
蒼レウス自体は対空攻撃たくさん→しばらく地上戦でプレイヤーの攻撃ターンという構成に設定されているようなので論理的には攻撃一度あたりの隙が小さいということはないのでしょうが、やはり一度回避に成功した結果をしばらく後の地上戦チャンスに結び付けられるほど人間は(少なくともアクションゲーム中は)合理的でない、もしくはもっと直接的な報酬を望むんでしょうね。
・上空に高く上がってからのキックと回避方法が異なる
これも二回くらい踏まれるまで気づかないんじゃと思いますが、大きく上昇したあとのキックは異常に追尾が強いのでP2G時代さながらの真下に潜る回避をする必要があります。
これ、同じ空中からのキックなのに回避方法が違うためストレスが溜まりがちです。
加えて真下に行こうとしても3G以降丸影(地面に出る●)をやめたため真下がわかりづらくなった、というのも減点ですね(今作でもエリアチャンジ中は出ますが。3では敵が上昇したら丸影に切り替えていたような・・・?)。
かわせないというよりは、同じ攻撃に見えるのに予備動作を見たら攻撃の追尾性能という、モンハン世界に存在しないはずの要素をいちいち思い出して回避行動を考えなければいけないのがよくないんですかね。
例えばレイアの火球ブレスとナパームブレスのように外見が違うものであったり、あるいは地上から飛び上がってキックと空中から直キックのような違いがあれば明確に違う攻撃と認識しやすいんですけど。
空中とさらに高い空中って、ねえ。
まあ見ればわかるんですけど、ねえ。
あとどうでもいいですが捕食掴みとも近いモーションです。
おそらく今まで回避したと思っている毒キックのいくつかは捕食掴みでしょう。
・他のモンスターの攻撃と、回避が推奨されるタイミングが統一されていない
なにげにこれが最大の要因なんじゃないかと思います。
ジンオウガやゴア、シャガルの叩き付けやブラキのジャンピング土下座などなど、今作における素早くて強烈な一撃の多くはモンスターが動き出してから回避することで追尾をかわせる攻撃が多くあります。対してレウスキックは早め(だけど決して早すぎず)の回避が求められる。
攻撃のテンポは近いものがあるので、この調整の意味するところは
「回避タイミングのルールが統一されていない(=調整ミス)」
「攻撃ごとに異なる回避タイミングを求めるという、新しいルールを設けた」
のどちらかです。前者だと話が終わってしまうので後者だとしましょう。
アクションゲームとしては「攻撃をタイミングよく回避」というのは基本中の基本要素なので、問題ないように見えます。
ではモンスターハンターシリーズとしてはどうか。
今シリーズが異常なほどの人気を集めた理由の一つはいくつもありますが、土台部分にあるアクションの平易さを無視することはできないでしょう。ここで言う「平易」とは、相手の動きを覚えれば、高度な反射神経がなくても「避けて当てる」というアクションゲームの醍醐味を味わえるくらいの意味です。巨大で強大な敵と戦う、倒すためには長いと30分以上の時間がかかる、その間集中力が持続するようにゲームスピードを意図的に遅くし、モンスターもプレイヤーも行動モーションが大きい尺で作られている(回復アイテムのリスクとして追加された時間に決めポーズを取れるほど)ことの産物ですね。
結果としてモンスターの攻撃範囲が絶対的な意味を持ち、予備動作を見たら攻撃範囲外へ逃げるというのが大ブームを巻き起こした時代(P2~P2G)の基本的なルールに見受けられました。
つまりここではアクションの「平易さ」はゲームの「遅さ」によって生まれていると言えます。
で、ホーミング攻撃というのは論理上、空間的要素をある程度無視する攻撃です。
ホーミングが強ければ強いほど、その攻撃は時間的要素=タイミングによって避けるしかないことを意味します。
その難易度を上げようとすると、必然的にタイミングはシビアになります。
回避が有効な時間を短くする以外にも、攻撃ごとに有効タイミングに差を付けることによって使い分けを要求し、実際の時間以上に難しく感じさせることもできます。これ自体はゲームデザインとして有効ですが、タイミングがシビアになるほどそれに対応できる人も、長時間遊べる人も減っていくことになります。
なによりおそらく、攻防の時間単位を短くしていくと現在のゆったりしたプレイヤーモーションでは、いつかゲームに耐えられなくなります。そうなるとモンハンの魅力である「遅さ」、アクションの平易さを捨ててプレイヤーのモーション速度を強化し、さらに人を選ぶスパイラルに陥るのでしょうか。しかし高速アクションを求めるプレイヤーは最初から他のゲームに移ってしまうようにも思えます。
無論モンハンももう長いシリーズなので適度なインフレも必要ですし、いくつかの中から最善の選択肢を選んだ結果が現在の状態なのだと思いますが、それでもこういった要素による不協和音をあのキック攻撃に感じてならないのです。
■好きです、蒼レウス
超長々と書きましたが別にあの攻撃の後隙大きくするべきとかホーミングなくすべきとか言うわけじゃないです。というか個人的には蒼レウス自体はレウスシリーズの中でもかなり風格を感じる、良い強さだと思ってたりします。
ただ、ゲーム作りって難しいですね、という。
蒼レウス「ええ、よくってよ」
別に原種でも希少種のキックでも一緒なんですけど。
多くのプレイヤーがこの攻撃をクソ技と思ったことでしょうが、
何故この技が理不尽に感じられるのかをちょっと真面目に考察してみます。
*
■前提;推定技仕様
1・ターゲットに向かって軸合わせをする(当然追尾アリ)
2・後ろに大きく下がる(この間ターゲットへの追尾ナシ)
3・勢いよくキック開始、この際前方の一定角度内にターゲットがいればそちらに方向補正
4・キック中、3でターゲットを捉えていればそちらに追尾
何度かよけたりくらったりした感じだとこんな挙動に見えますね。
前回書いたように2の途中で側転すれば意外と明後日の方向に飛んでいきます。
つまり攻撃可能範囲がイチョウの葉状に広がり一定以上離れると逆に危険、軸合わせを見てからかわせば比較的容易に回避可能という、かなり普通の突進に近い攻撃です。
たぶん。
突進をよけるのはモンハンの基本ですよね。
ではなぜこんなにもクソ技なのか。
調整の問題よりも、いくつか必然的にストレスを与えてしまう要素があるように思えます。
・キックがプレイヤーに与えるリスクに対し、回避後のリターンが少ない
まあ真っ先に感じるのはこれでしょう。
くらったら体勢を立て直すためにエリアチェンジ必須レベルの攻撃なのに、(特に青い子は)キック後も滞空を続けることが多く、回避しても攻撃チャンスにならない。
蒼レウス自体は対空攻撃たくさん→しばらく地上戦でプレイヤーの攻撃ターンという構成に設定されているようなので論理的には攻撃一度あたりの隙が小さいということはないのでしょうが、やはり一度回避に成功した結果をしばらく後の地上戦チャンスに結び付けられるほど人間は(少なくともアクションゲーム中は)合理的でない、もしくはもっと直接的な報酬を望むんでしょうね。
・上空に高く上がってからのキックと回避方法が異なる
これも二回くらい踏まれるまで気づかないんじゃと思いますが、大きく上昇したあとのキックは異常に追尾が強いのでP2G時代さながらの真下に潜る回避をする必要があります。
これ、同じ空中からのキックなのに回避方法が違うためストレスが溜まりがちです。
加えて真下に行こうとしても3G以降丸影(地面に出る●)をやめたため真下がわかりづらくなった、というのも減点ですね(今作でもエリアチャンジ中は出ますが。3では敵が上昇したら丸影に切り替えていたような・・・?)。
かわせないというよりは、同じ攻撃に見えるのに予備動作を見たら攻撃の追尾性能という、モンハン世界に存在しないはずの要素をいちいち思い出して回避行動を考えなければいけないのがよくないんですかね。
例えばレイアの火球ブレスとナパームブレスのように外見が違うものであったり、あるいは地上から飛び上がってキックと空中から直キックのような違いがあれば明確に違う攻撃と認識しやすいんですけど。
空中とさらに高い空中って、ねえ。
まあ見ればわかるんですけど、ねえ。
あとどうでもいいですが捕食掴みとも近いモーションです。
おそらく今まで回避したと思っている毒キックのいくつかは捕食掴みでしょう。
・他のモンスターの攻撃と、回避が推奨されるタイミングが統一されていない
なにげにこれが最大の要因なんじゃないかと思います。
ジンオウガやゴア、シャガルの叩き付けやブラキのジャンピング土下座などなど、今作における素早くて強烈な一撃の多くはモンスターが動き出してから回避することで追尾をかわせる攻撃が多くあります。対してレウスキックは早め(だけど決して早すぎず)の回避が求められる。
攻撃のテンポは近いものがあるので、この調整の意味するところは
「回避タイミングのルールが統一されていない(=調整ミス)」
「攻撃ごとに異なる回避タイミングを求めるという、新しいルールを設けた」
のどちらかです。前者だと話が終わってしまうので後者だとしましょう。
アクションゲームとしては「攻撃をタイミングよく回避」というのは基本中の基本要素なので、問題ないように見えます。
ではモンスターハンターシリーズとしてはどうか。
今シリーズが異常なほどの人気を集めた理由の一つはいくつもありますが、土台部分にあるアクションの平易さを無視することはできないでしょう。ここで言う「平易」とは、相手の動きを覚えれば、高度な反射神経がなくても「避けて当てる」というアクションゲームの醍醐味を味わえるくらいの意味です。巨大で強大な敵と戦う、倒すためには長いと30分以上の時間がかかる、その間集中力が持続するようにゲームスピードを意図的に遅くし、モンスターもプレイヤーも行動モーションが大きい尺で作られている(回復アイテムのリスクとして追加された時間に決めポーズを取れるほど)ことの産物ですね。
結果としてモンスターの攻撃範囲が絶対的な意味を持ち、予備動作を見たら攻撃範囲外へ逃げるというのが大ブームを巻き起こした時代(P2~P2G)の基本的なルールに見受けられました。
つまりここではアクションの「平易さ」はゲームの「遅さ」によって生まれていると言えます。
で、ホーミング攻撃というのは論理上、空間的要素をある程度無視する攻撃です。
ホーミングが強ければ強いほど、その攻撃は時間的要素=タイミングによって避けるしかないことを意味します。
その難易度を上げようとすると、必然的にタイミングはシビアになります。
回避が有効な時間を短くする以外にも、攻撃ごとに有効タイミングに差を付けることによって使い分けを要求し、実際の時間以上に難しく感じさせることもできます。これ自体はゲームデザインとして有効ですが、タイミングがシビアになるほどそれに対応できる人も、長時間遊べる人も減っていくことになります。
なによりおそらく、攻防の時間単位を短くしていくと現在のゆったりしたプレイヤーモーションでは、いつかゲームに耐えられなくなります。そうなるとモンハンの魅力である「遅さ」、アクションの平易さを捨ててプレイヤーのモーション速度を強化し、さらに人を選ぶスパイラルに陥るのでしょうか。しかし高速アクションを求めるプレイヤーは最初から他のゲームに移ってしまうようにも思えます。
無論モンハンももう長いシリーズなので適度なインフレも必要ですし、いくつかの中から最善の選択肢を選んだ結果が現在の状態なのだと思いますが、それでもこういった要素による不協和音をあのキック攻撃に感じてならないのです。
■好きです、蒼レウス
超長々と書きましたが別にあの攻撃の後隙大きくするべきとかホーミングなくすべきとか言うわけじゃないです。というか個人的には蒼レウス自体はレウスシリーズの中でもかなり風格を感じる、良い強さだと思ってたりします。
ただ、ゲーム作りって難しいですね、という。
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