元記事
Why the Twin Ban Was a Mistake - By Paulo Vitor Damo da Rosa
http://www.channelfireball.com/articles/why-the-twin-ban-was-a-mistake/
前回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201601251649282282/
*
双子は強力すぎ、流行しすぎた【※1】
双子の禁止(そして他を禁止しないこと)を正当化する第一の主張は、双子は強すぎるということだ。WotCは双子が優勝した回数を引用し、Sam Blackは「双子は強力すぎ、フォーマットの多様性を損なっているから禁止された」とか「双子は応用が利きすぎ、モダンにおいて成功しすぎた」と言っていたし、Brad Nelsonは「(双子)は(...)勝率の点でこのフォーマット最善のデッキである」と書いていた【※2】し、Neal Oliverは「ヘイトカードに対して非常に強く、それがナンバーワンであることを示す数もある、完全に支配的で抑圧的なアーキタイプだった」殻と比較している【※3】。
僕は、彼らの意見は間違いだと思う。
双子は強力すぎもせず、強すぎでもないし、支配的でも、抑圧的でも、ましてやフォーマット最善のデッキでもなかった。
双子は強かっただろうか?もちろん、双子はTier1のデッキだったよ、他の多くのデッキと同様に。最善のデッキだったと明確に言えるか?いいや。最高の勝率を誇っていたか?いいや。
30000試合ほどを分析したこの記事を見てほしい【※4】。(分析をやめるよう言われているようなので、少しデータが古いかもしれない。ただこの記事の趣旨には問題ないはずだ)このサンプルサイズにおいて、双子の勝率は53.64%で、12位と表示されている(ただ、さらに上位でもアーキタイプかぶりがおきているようで、ここでの実際の数字は8位と呼ぶべきのようだ)。メジャーなアーキタイプの中では、Zooがより多くの試合に勝っており(さまざまなバージョンがあるが、いずれも53%以上)、親和もさらに勝っており(55.31%)、そしてボーグルズもより勝っており、感染やアブザンも双子と同じくらい勝っている。
ここでも「双子多すぎ」という意見は支持されない。双子はだいたい三番目に人気のあるデッキで、バーンや、驚くべきことにグリクシスコントロール――理論的には双子によって「抑えられている」類のデッキだ(もしかしたらこのデータは例外かもしれないけれど)――に席を譲っている。
僕はマジックオンラインのデータは、特定のメタゲームやカードの入手しやすさ、プレイヤーのスキルレベルに影響されやすいから、いつも少し疑わしいと考えている――だが、これはMTGOだけの話ではない。mtgtop8.com【※5】では、モダンデッキの人気を特定の期間で分類し調べることができる。Samは彼の記事において、過去二ヶ月のオフライン【※6】イベントにおいて双子は親和の二倍プレイされていると指摘したが、それは「過去二ヶ月のオフラインイベント」という条件でしか起きない現象だ。もしも過去二ヶ月の「すべてのイベント」で分類すれば、9%対11%という結果になる。昨年のすべてのイベントで分類すると、9%対11%だ。モダンのすべてのイベントなら、9%対9%。GPとPTのデータのみを見たら、双子は9%、ジャンドが12%、親和が11%だ。これは、親和がほぼ単一の構成なのに対し、双子は複数の亜種を含むという事実を考慮に入れていないデータではある。僕はSamが自身の主張に都合のいいデータだけをピックしてきたとは思わない。ひとつのデータを調べたら、自身の主張を支持するものが出てきてしまったため、それを使ったのだろう――だが「双子は人気がありすぎる」という主張は支持されないという事実は残る。
PT運命再編を見てみよう――双子が優勝した大会だ。
以下がそのイベントの1日目メタゲーム・ブレイクダウンだ:
【表:アーキタイプ - 人数 - 割合%】
アブザン - 115 - 28.30%
バーン - 48 - 11.80%
親和 - 28 - 6.90%
感染 - 28 - 6.90%
Zoo - 26 - 6.40%
赤緑トロン - 19 - 4.70%
青赤双子 - 16 - 3.90%
スケープシフト- 12 - 2.90%
ジェスカイコントロール - 11 - 2.70%
ジャンド - 10 - 2.50%
ストーム - 9 - 2.20%
アミュレットブルーム - 8 - 2.00%
グリクシス双子 - 8 - 2.00%
そして、これが2日目のブレイクダウンだ:
【表:アーキタイプ - 人数 - 割合%】
アブザン - 73- 28.30%
バーン - 32 - 12.40%
感染 - 19 - 7.40%
親和 - 17 - 6.60%
Zoo - 14 - 5.40%
青赤双子 - 13 - 5.00%
赤緑トロン - 8 - 3.10%
スケープシフト- 8 - 3.10%
ジャンド - 7 - 2.70%
ストーム - 6 - 2.30%
白黒トークン - 6 - 2.30%
アミュレットブルーム - 5 - 1.90%
グリクシス双子 - 5 - 1.90%
よって、双子とその亜種は1日目のメタゲームにおいて3.9%と2%であり、2日目のメタゲームでは5%と1.9%だ。よいデッキだが、支配的だったり強力すぎるとはとても言えない。
世界選手権を見てみよう。Owen Turtenwaldはモダンで数百もの試合をプレイした結果、このフォーマットで最善のデッキは――双子ではなく――親和だという結論に至った。この大会で他に5名の人々が同じデッキを使った。Top4に3つの親和デッキが入った。世界選手権に集まった、24人の世界中からのベストプレイヤーのうち、双子を使ったのは二人しかいない:僕と山本賢太郎だ【※7】。どちらも2-2だった。今や、もちろん個人的好みの問題も、特定のメタゲーム予想の問題もあるが(もしも世界選手権でなければ、ここまで多くのボーグルズに当たるかどうかは疑わしいだろう)、「モダンで強すぎる」と称されるデッキとしては、代表数と勝率ともに小さすぎる数字と言わざるを得ないだろう。
単に「強すぎる」わけではないことが禁止に対する反論になるとは、僕も考えていないことを明記しておこう。アミュレットはそれほど流行しているわけでも勝率が高いわけでもないが、それでも僕は禁止するべきだと考えている。僕はアミュレットが禁止されるべき理由は「強すぎるし流行しすぎている」ことではないと言えるが、もしも僕が「アミュレットがモダンを乗っ取ってしまうから禁止するべきだ」と言ったら、僕を止めて「そんなことはない」と反論する君は完全に正しいだろう。実際にそうではないからだ。ただし、双子も同様にそうではない。
(次回に続く)
*
【訳注や主なリンク】
※1
前回からの続きで、「~という主張があるが、これに反論する」という文脈です。
※2
http://www.starcitygames.com/article/32245_Fact-Or-Fiction-A-Banner-Week-For-Modern.html
※3
http://www.channelfireball.com/articles/bloom-and-twin-banned-in-modern-what-now/
※4
http://www.mtggoldfish.com/metagame/breakdown/modern
※5
http://mtgtop8.com/format?f=MO&meta=101
※6
原文では"live events"
※7
世界選手権2015のことであれば、もう一名いるようです。
http://coverage.mtg-jp.com/mtgwc15/decklist/015565/#
Why the Twin Ban Was a Mistake - By Paulo Vitor Damo da Rosa
http://www.channelfireball.com/articles/why-the-twin-ban-was-a-mistake/
前回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201601251649282282/
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双子は強力すぎ、流行しすぎた【※1】
双子の禁止(そして他を禁止しないこと)を正当化する第一の主張は、双子は強すぎるということだ。WotCは双子が優勝した回数を引用し、Sam Blackは「双子は強力すぎ、フォーマットの多様性を損なっているから禁止された」とか「双子は応用が利きすぎ、モダンにおいて成功しすぎた」と言っていたし、Brad Nelsonは「(双子)は(...)勝率の点でこのフォーマット最善のデッキである」と書いていた【※2】し、Neal Oliverは「ヘイトカードに対して非常に強く、それがナンバーワンであることを示す数もある、完全に支配的で抑圧的なアーキタイプだった」殻と比較している【※3】。
僕は、彼らの意見は間違いだと思う。
双子は強力すぎもせず、強すぎでもないし、支配的でも、抑圧的でも、ましてやフォーマット最善のデッキでもなかった。
双子は強かっただろうか?もちろん、双子はTier1のデッキだったよ、他の多くのデッキと同様に。最善のデッキだったと明確に言えるか?いいや。最高の勝率を誇っていたか?いいや。
30000試合ほどを分析したこの記事を見てほしい【※4】。(分析をやめるよう言われているようなので、少しデータが古いかもしれない。ただこの記事の趣旨には問題ないはずだ)このサンプルサイズにおいて、双子の勝率は53.64%で、12位と表示されている(ただ、さらに上位でもアーキタイプかぶりがおきているようで、ここでの実際の数字は8位と呼ぶべきのようだ)。メジャーなアーキタイプの中では、Zooがより多くの試合に勝っており(さまざまなバージョンがあるが、いずれも53%以上)、親和もさらに勝っており(55.31%)、そしてボーグルズもより勝っており、感染やアブザンも双子と同じくらい勝っている。
ここでも「双子多すぎ」という意見は支持されない。双子はだいたい三番目に人気のあるデッキで、バーンや、驚くべきことにグリクシスコントロール――理論的には双子によって「抑えられている」類のデッキだ(もしかしたらこのデータは例外かもしれないけれど)――に席を譲っている。
僕はマジックオンラインのデータは、特定のメタゲームやカードの入手しやすさ、プレイヤーのスキルレベルに影響されやすいから、いつも少し疑わしいと考えている――だが、これはMTGOだけの話ではない。mtgtop8.com【※5】では、モダンデッキの人気を特定の期間で分類し調べることができる。Samは彼の記事において、過去二ヶ月のオフライン【※6】イベントにおいて双子は親和の二倍プレイされていると指摘したが、それは「過去二ヶ月のオフラインイベント」という条件でしか起きない現象だ。もしも過去二ヶ月の「すべてのイベント」で分類すれば、9%対11%という結果になる。昨年のすべてのイベントで分類すると、9%対11%だ。モダンのすべてのイベントなら、9%対9%。GPとPTのデータのみを見たら、双子は9%、ジャンドが12%、親和が11%だ。これは、親和がほぼ単一の構成なのに対し、双子は複数の亜種を含むという事実を考慮に入れていないデータではある。僕はSamが自身の主張に都合のいいデータだけをピックしてきたとは思わない。ひとつのデータを調べたら、自身の主張を支持するものが出てきてしまったため、それを使ったのだろう――だが「双子は人気がありすぎる」という主張は支持されないという事実は残る。
PT運命再編を見てみよう――双子が優勝した大会だ。
以下がそのイベントの1日目メタゲーム・ブレイクダウンだ:
【表:アーキタイプ - 人数 - 割合%】
アブザン - 115 - 28.30%
バーン - 48 - 11.80%
親和 - 28 - 6.90%
感染 - 28 - 6.90%
Zoo - 26 - 6.40%
赤緑トロン - 19 - 4.70%
青赤双子 - 16 - 3.90%
スケープシフト- 12 - 2.90%
ジェスカイコントロール - 11 - 2.70%
ジャンド - 10 - 2.50%
ストーム - 9 - 2.20%
アミュレットブルーム - 8 - 2.00%
グリクシス双子 - 8 - 2.00%
そして、これが2日目のブレイクダウンだ:
【表:アーキタイプ - 人数 - 割合%】
アブザン - 73- 28.30%
バーン - 32 - 12.40%
感染 - 19 - 7.40%
親和 - 17 - 6.60%
Zoo - 14 - 5.40%
青赤双子 - 13 - 5.00%
赤緑トロン - 8 - 3.10%
スケープシフト- 8 - 3.10%
ジャンド - 7 - 2.70%
ストーム - 6 - 2.30%
白黒トークン - 6 - 2.30%
アミュレットブルーム - 5 - 1.90%
グリクシス双子 - 5 - 1.90%
よって、双子とその亜種は1日目のメタゲームにおいて3.9%と2%であり、2日目のメタゲームでは5%と1.9%だ。よいデッキだが、支配的だったり強力すぎるとはとても言えない。
世界選手権を見てみよう。Owen Turtenwaldはモダンで数百もの試合をプレイした結果、このフォーマットで最善のデッキは――双子ではなく――親和だという結論に至った。この大会で他に5名の人々が同じデッキを使った。Top4に3つの親和デッキが入った。世界選手権に集まった、24人の世界中からのベストプレイヤーのうち、双子を使ったのは二人しかいない:僕と山本賢太郎だ【※7】。どちらも2-2だった。今や、もちろん個人的好みの問題も、特定のメタゲーム予想の問題もあるが(もしも世界選手権でなければ、ここまで多くのボーグルズに当たるかどうかは疑わしいだろう)、「モダンで強すぎる」と称されるデッキとしては、代表数と勝率ともに小さすぎる数字と言わざるを得ないだろう。
単に「強すぎる」わけではないことが禁止に対する反論になるとは、僕も考えていないことを明記しておこう。アミュレットはそれほど流行しているわけでも勝率が高いわけでもないが、それでも僕は禁止するべきだと考えている。僕はアミュレットが禁止されるべき理由は「強すぎるし流行しすぎている」ことではないと言えるが、もしも僕が「アミュレットがモダンを乗っ取ってしまうから禁止するべきだ」と言ったら、僕を止めて「そんなことはない」と反論する君は完全に正しいだろう。実際にそうではないからだ。ただし、双子も同様にそうではない。
(次回に続く)
*
【訳注や主なリンク】
※1
前回からの続きで、「~という主張があるが、これに反論する」という文脈です。
※2
http://www.starcitygames.com/article/32245_Fact-Or-Fiction-A-Banner-Week-For-Modern.html
※3
http://www.channelfireball.com/articles/bloom-and-twin-banned-in-modern-what-now/
※4
http://www.mtggoldfish.com/metagame/breakdown/modern
※5
http://mtgtop8.com/format?f=MO&meta=101
※6
原文では"live events"
※7
世界選手権2015のことであれば、もう一名いるようです。
http://coverage.mtg-jp.com/mtgwc15/decklist/015565/#
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