【CFB】How to Convince Your Opponent to Hand You the Game - By Paulo Vitor Damo da Rosa【和訳・第二回】
2016年6月16日 Magic: The Gathering
原文
http://www.channelfireball.com/articles/how-to-convince-your-opponent-to-hand-you-the-game/
第一回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606141820184111/
第二回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606161830418174/
第三回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606190414487863/
第四回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606250226004827/
*
相手がゲームに負けるシナリオをつくる
相手に自分が望むプレイをしてもらう最良の手は、勝ちをちらつかせることだ。みんなは負けることを恐れており、もしも防げたはずの敗北を喫したらひどい気分になる。だからわざわざ敗北を防ごうと必死になる。勝つための脅威を出すことは、対戦相手に自分の望むプレイをさせるための最善の方法なんだ。
Estratti対Martell戦のブラフを見てみよう。
【動画】
https://www.youtube.com/watch?v=PWdn9gcUSzw
これは有名なプレイで、君たちも聞いたことがあるかもしれない。ゲームはMartellが、ゲームを支配しようとしている呪禁つきの意思の詐話師とともにアンタップを目前にしているところだ。Estrattiは攻撃してパンプ呪文を使用し、さらに2マナをタップして、さらなるパンプ呪文を唱えようとしているかのように見せかけた(それは致死ダメージになりうる)。そのタイミングで彼は、Martellがブロック宣言をしていないと止められた。Mertellは、Estrattiはしくじったし危うく自分は死ぬところだったのだと考え、彼の悪鬼の狩人をブロックした【訳注:意思の詐話師によるチャンプブロック】。だが実際は、Estrattiは追加のパンプ呪文を手札に持っておらず、それどころかタップしようとした2マナでできることは何もなかった――単にMartellにチャンプブロックして欲しかっただけなのだ。
このプレイはEstrattiがMartellに――完全にルールにのっとり、かつ健全な方法で――相手は自分をぶっ殺そうとしていると確信させることに成功した。もしも対戦相手に止めを刺すのでなければ、青白のデッキでブロックされていない生物にパンプ呪文を撃つ理由があるか?さらに2マナをタップする理由は?
普通の状況であればMartellは絶対にブロックしなかっただろう。
意思の詐話師はそれほどに強力で、青白のデッキに対して負けることはまずあり得ないからだ。相手にブロックをさせるために、Estrattiは究極の脅威をこしらえ、詐話師以上に重要なもの――ゲームの勝利をちらつかせるほかになかった。彼は有形のリソース(パンプ呪文という、場合によっては詐話師を1ターン防げたかもしれないもの)を消費して、無形の利益(Martellの頭に、ブロックしなければ自分は負けるという思考を植えつけること)を得たのだ。そしてそれは、Martellに最良の勝ち手段を捨てさせるというみごとな形で報われた。
相手がゲームに勝つシナリオをつくる
こちらはちょっとだけ複雑だが、その分効果的でもある。みんな負けるのが大嫌いで、負けないための最も確実な方法は今すぐゲームに勝ってしまうことだから、ゲームに勝てるという見通しは魅力的なのだ。誰もが勝ちたいと思っているから、もしも誰かに勝利への道をプレゼントしてやれば、その必要がない場合さえ相手は喜んでそこを進むだろう。
【画像:師範の占い独楽】【画像:闇の腹心】
マジックに関して言えば、僕の友人がいい例を出してくれた。友人はライフ1で師範の占い独楽と闇の腹心をコントロールしており、対戦相手はタルモゴイフを出しつつ対抗呪文を手札に持っていた。アップキープに、友人は師範の占い独楽を起動し、そして手札の最後のカード――もみ消しを、闇の腹心の誘発型能力を打ち消そうとプレイした。対戦相手は勝利の匂いを感じ取り、もみ消しに対抗呪文を撃った。すると友人は続けて闇の腹心の能力で土地を公開し、ドローステップで不忠の糸を引き、タルモゴイフに対してプレイし、ゲームに勝った。
ここで、対戦相手がもみ消しをカウンターするべきかどうかは議論があってもいい――そうするべきだったかもしれないし、そうするべきではなかったかもしれない。
今分析しているのは僕の友人の行動だ。対戦相手に、見逃すにはあまりにも惜しいかもしれない、即座に勝てる筋書きを提示できると気づいたことだ。
自分が死ぬのでなければまったく合理的でない状況でもみ消しを唱えることによって、闇の腹心の能力が解決されれば死んでしまうという思考を植えつけたのだ。そして、もしもその思考を植えつけることに成功したら、対戦相手は無意味なもみ消しに対して対抗呪文を撃ち、糸の解決を許して、対戦相手を欺くという無形のアドバンテージを即座に盗んだタルモゴイフという確固としたアドバンテージに変換できると気づいたのだ。
他にも意図的に土地を置かないことによって、対戦相手に過剰展開をさせるという手もある。僕が憶えているのはリミテッドのゲームで、Guillaume Wafo-Tapaが3枚目の土地と全除去が手札にあるにも関わらず、3ターン目にその土地を置かなかった――対戦相手はその餌に食いつき、さらにクリーチャーをプレイし、全部を流されることとなった。
対戦相手が土地を置かなかった場合に最初に思うことは、「よし、相手が復帰できる前にプレイできる呪文を全部プレイしよう」だ。だが、相手が土地を置いて呪文をプレイしなかった場合に思うのは、「うむむ、なんで呪文をプレイしないんだ?何かおかしいぞ」になるだろう。わざと土地を温存しておくことによって、もしも相手が全力展開すれば、簡単にゲームに勝てる――キャストされる前に死ぬから、君の手札にあるボムに対処する必要もない――という思考を植えつけられる。
*
つづく。
見事なプレイばかりですが、読んでると何でこんなゲームやってるんだろう感ありますね。
http://www.channelfireball.com/articles/how-to-convince-your-opponent-to-hand-you-the-game/
第一回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606141820184111/
第二回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606161830418174/
第三回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606190414487863/
第四回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606250226004827/
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相手がゲームに負けるシナリオをつくる
相手に自分が望むプレイをしてもらう最良の手は、勝ちをちらつかせることだ。みんなは負けることを恐れており、もしも防げたはずの敗北を喫したらひどい気分になる。だからわざわざ敗北を防ごうと必死になる。勝つための脅威を出すことは、対戦相手に自分の望むプレイをさせるための最善の方法なんだ。
Estratti対Martell戦のブラフを見てみよう。
【動画】
https://www.youtube.com/watch?v=PWdn9gcUSzw
これは有名なプレイで、君たちも聞いたことがあるかもしれない。ゲームはMartellが、ゲームを支配しようとしている呪禁つきの意思の詐話師とともにアンタップを目前にしているところだ。Estrattiは攻撃してパンプ呪文を使用し、さらに2マナをタップして、さらなるパンプ呪文を唱えようとしているかのように見せかけた(それは致死ダメージになりうる)。そのタイミングで彼は、Martellがブロック宣言をしていないと止められた。Mertellは、Estrattiはしくじったし危うく自分は死ぬところだったのだと考え、彼の悪鬼の狩人をブロックした【訳注:意思の詐話師によるチャンプブロック】。だが実際は、Estrattiは追加のパンプ呪文を手札に持っておらず、それどころかタップしようとした2マナでできることは何もなかった――単にMartellにチャンプブロックして欲しかっただけなのだ。
このプレイはEstrattiがMartellに――完全にルールにのっとり、かつ健全な方法で――相手は自分をぶっ殺そうとしていると確信させることに成功した。もしも対戦相手に止めを刺すのでなければ、青白のデッキでブロックされていない生物にパンプ呪文を撃つ理由があるか?さらに2マナをタップする理由は?
普通の状況であればMartellは絶対にブロックしなかっただろう。
意思の詐話師はそれほどに強力で、青白のデッキに対して負けることはまずあり得ないからだ。相手にブロックをさせるために、Estrattiは究極の脅威をこしらえ、詐話師以上に重要なもの――ゲームの勝利をちらつかせるほかになかった。彼は有形のリソース(パンプ呪文という、場合によっては詐話師を1ターン防げたかもしれないもの)を消費して、無形の利益(Martellの頭に、ブロックしなければ自分は負けるという思考を植えつけること)を得たのだ。そしてそれは、Martellに最良の勝ち手段を捨てさせるというみごとな形で報われた。
相手がゲームに勝つシナリオをつくる
こちらはちょっとだけ複雑だが、その分効果的でもある。みんな負けるのが大嫌いで、負けないための最も確実な方法は今すぐゲームに勝ってしまうことだから、ゲームに勝てるという見通しは魅力的なのだ。誰もが勝ちたいと思っているから、もしも誰かに勝利への道をプレゼントしてやれば、その必要がない場合さえ相手は喜んでそこを進むだろう。
【画像:師範の占い独楽】【画像:闇の腹心】
マジックに関して言えば、僕の友人がいい例を出してくれた。友人はライフ1で師範の占い独楽と闇の腹心をコントロールしており、対戦相手はタルモゴイフを出しつつ対抗呪文を手札に持っていた。アップキープに、友人は師範の占い独楽を起動し、そして手札の最後のカード――もみ消しを、闇の腹心の誘発型能力を打ち消そうとプレイした。対戦相手は勝利の匂いを感じ取り、もみ消しに対抗呪文を撃った。すると友人は続けて闇の腹心の能力で土地を公開し、ドローステップで不忠の糸を引き、タルモゴイフに対してプレイし、ゲームに勝った。
ここで、対戦相手がもみ消しをカウンターするべきかどうかは議論があってもいい――そうするべきだったかもしれないし、そうするべきではなかったかもしれない。
今分析しているのは僕の友人の行動だ。対戦相手に、見逃すにはあまりにも惜しいかもしれない、即座に勝てる筋書きを提示できると気づいたことだ。
自分が死ぬのでなければまったく合理的でない状況でもみ消しを唱えることによって、闇の腹心の能力が解決されれば死んでしまうという思考を植えつけたのだ。そして、もしもその思考を植えつけることに成功したら、対戦相手は無意味なもみ消しに対して対抗呪文を撃ち、糸の解決を許して、対戦相手を欺くという無形のアドバンテージを即座に盗んだタルモゴイフという確固としたアドバンテージに変換できると気づいたのだ。
他にも意図的に土地を置かないことによって、対戦相手に過剰展開をさせるという手もある。僕が憶えているのはリミテッドのゲームで、Guillaume Wafo-Tapaが3枚目の土地と全除去が手札にあるにも関わらず、3ターン目にその土地を置かなかった――対戦相手はその餌に食いつき、さらにクリーチャーをプレイし、全部を流されることとなった。
対戦相手が土地を置かなかった場合に最初に思うことは、「よし、相手が復帰できる前にプレイできる呪文を全部プレイしよう」だ。だが、相手が土地を置いて呪文をプレイしなかった場合に思うのは、「うむむ、なんで呪文をプレイしないんだ?何かおかしいぞ」になるだろう。わざと土地を温存しておくことによって、もしも相手が全力展開すれば、簡単にゲームに勝てる――キャストされる前に死ぬから、君の手札にあるボムに対処する必要もない――という思考を植えつけられる。
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つづく。
見事なプレイばかりですが、読んでると何でこんなゲームやってるんだろう感ありますね。
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