【CFB】How to Convince Your Opponent to Hand You the Game - By Paulo Vitor Damo da Rosa【和訳・第四回】
2016年6月25日 Magic: The Gathering コメント (2)
ちょっと間が空いてすいませんが。
原文
http://www.channelfireball.com/articles/how-to-convince-your-opponent-to-hand-you-the-game/
第一回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606141820184111/
第二回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606161830418174/
第三回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606190414487863/
第四回(これ)
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606250226004827/
今回はバーンを極めるのは難しいという話です。
*
対戦相手に逃げ道を用意しておけ
相手に君のシナリオを気づかせても、対戦相手はそれが事実だったらもう止められないから、そうでない前提で動くことがある。そうされると君は困るはずだ。もしもシナリオをでっちあげるのなら、対戦相手が君が望むことができるようにしておかなければならない。対戦相手のライフが4のときに、2/2が4/4に向かって突っ込んでいくときと同じだ――そう、君は手札に巨大化があるとちらつかせているかもしれないが、対戦相手は他に選択肢がないからブロックするだろう。思考を植え付けること自体に価値はないんだ――それによって将来の利益を得て、ようやく意味が出てくるんだ。君が思考の植え付けに成功しても、対戦相手が対処できることが何もなければ利益にならない。
例として、最近Mark Nesticoの記事にも上がっていた、Ross MerrianとPatrick Sullivanの試合を見てみよう。
【動画:28:19あたりにタグ付き】
https://www.youtube.com/watch?v=rhWXEKbtCiw
このゲームをPatrick Sullivanの視点から見ていたら、起きなければならないあることに気づくだろう――Rossが不毛の大地をタップしなければならない。発展の代価による6点ダメージがなければ、手札にゲームを終わらせるに十分なマナ/火力はなかったのだから。Rossをタップアウトさせる唯一の方法は、彼が死んでしまうかもしれないと思うようなシナリオ組み上げることだ――硫黄の渦を破壊しなければならないと思わせるシナリオを。
Patrickはこれをかなりスーサイドなやり方で成し遂げた――必要ないのに、自身のライフを1まで下げて(火炎の裂け目を次のターンにキャストしてもよかったのに、だ)、Rossの頭に自分が止めを刺そうとしていることを強く印象付けた。必要もなくメインフェイズにフェッチランドを起動し、こちらは自身のライフ総量に無頓着であり、まだまだプレイできる呪文があるとRossに信じ込ませてしまった。だからRossはまんまと乗せられて硫黄の渦を破壊し、それが自分に止めを刺す結果となった。ここまではいいだろう。
だけど、より深く分析すると、どちらのプレイヤーにももっといい選択肢があったように思えるんだ。主な問題はPatrickが一番大事な点に失敗しているということだ――彼はRossに逃げ道を用意しなかった。PatrickがRossに止めをさせるだけの火力を持っていたとしたら、とっくに止めを刺していたはずだ。Rossのライフは9点なのだから、Patrickは稲妻+電撃破+渋面の溶岩使いの合計9点でも、火炎破+火炎破+溶岩使いの10点でも。他にありえるシナリオ(稲妻+稲妻)は、合計で6点しかないから、硫黄の渦がダメージを与えていたとしても、Rossは死なない。ここで組み上げたシナリオでは、たとえ君がRossに止めをさせると思い込ませることに成功しても、彼には回避する手段がないのだから、防ぐ努力をする必要がないんだ。そのうえPatrickは、Rossが群れ仲間を生贄に捧げれば1ターンの間ブロック+溶岩使いで凌げてしまうというシナリオを作り上げてしまった。そうなったら、群れ仲間のダメージが実際に重要になるのだから、この起動はよりためらわれるだろう。
僕には、ここでありうる最善のプレイはRossに逃げ道を残してあげるようなものにするべきで、例えばこんなやり方だ――単純に稲妻の連鎖をプレイしない。代わりに、樹木茂る山麓を生贄に捧げて、火炎の裂け目をプレイし(Rossのライフを9にして、自分のライフを1に)、エーテル宣誓会の法学者を溶岩使いで除去する (山麓の起動や法学者の除去はすぐでなくてもいいが、重要なのは稲妻の連鎖をプレイしないことだ)。
これにより、Rossからしたら硫黄の渦を破壊すれば稲妻+火炎破や火炎破2枚を受けても生き残れるのだから、そうしたくなる動機はぐっと上がる。もしもRossがタップしたら、まだであれば溶岩使いを法学者に撃って、発展の代価と火炎破で止めだ。もはやRossにとって止めを刺すためアタッカーは十分にいて、群れ仲間も硫黄の滝のダメージも不要という事実が、ターン終了時に硫黄の渦破壊を起動するもう一つの理由となる。
ときには、ちょっとした誘導も必要だ
状況によっては、対戦相手に自分が見せかけたいシナリオが見えやすくなるように手助けしてあげることも役に立つ。うっかり自分の反対側にいる人間のことを甘く見たら大変なことになりえるが、自分が手伝っていることに相手が気づかないくらいのちょうど良い塩梅を見つけてあげれば、君は一等賞をもらえる。PatrickがRossに硫黄の滝を破壊させるために樹木茂る山麓を起動したのはこのいい例だ――そうする必要はなかったが、Rossを「正しい」方向にじりじり導いたのだ。
【画像:朽ちゆくヒル】
PTサンディエゴで、Luisの対戦相手が朽ちゆくヒルを、Luisがアンタップ状態の樹木茂る山麓をコントロールしていたときのことを覚えている。Luisは対戦相手に朽ちゆくヒルをパンプして欲しくなかったから、樹木茂る山麓によって稲妻があると見せかけようとしたんだ。だけどLuisからすると対戦相手がアンタップ状態の樹木茂る山麓から稲妻を連想できるかわからない。そこで何をしたと思う?メインフェイズにフェッチランドを起動して山を立てたままターンを返したんだ。これによって対戦相手はLuisが赤いカードを構えていると信じ込んで、朽ちゆくヒルをパンプしなかった。
効果は薄くなるかもしれないが、もうちょっと直接的にやる方法もある。FNMでプレイしていたときのことだ。赤単の対戦相手が4マナを立てており、墓地には2枚の地獄火花の精霊がいた。僕の手札には謎めいた命令があって濃霧として使おうと思っていたが、本音を言えば相手がタップアウトして両方の地獄火花の精霊を釣り上げてもらってから使いたかった。対戦相手は2マナをタップして片方を蘇生し、僕はもう片方も同じように蘇生してもらおうとして、端的にこう聞いてみた。「墓地にはもう一枚ありますよね?」彼は見て、「うん」と答えて、もう片方も同じように蘇生し、僕は両方をタップした。僕が問いかけなくても彼は同じようにしただろうか?わからない、でも僕の質問が少しでもそれを促したと思いたいな。
もちろん、以上の例はどれも具体的にすぎるシナリオだ――この手の話では、どの例も個別的なものになってしまう。だけど僕がこの記事を通して、対戦相手の心に思考を乗っける一般的な過程をみんなに伝えられて、みんなが自分の置かれた状況でそれらを応用できたらいいと思っているよ。
原文
http://www.channelfireball.com/articles/how-to-convince-your-opponent-to-hand-you-the-game/
第一回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606141820184111/
第二回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606161830418174/
第三回
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606190414487863/
第四回(これ)
http://madeinhorie.diarynote.jp/201606250226004827/
今回はバーンを極めるのは難しいという話です。
*
対戦相手に逃げ道を用意しておけ
相手に君のシナリオを気づかせても、対戦相手はそれが事実だったらもう止められないから、そうでない前提で動くことがある。そうされると君は困るはずだ。もしもシナリオをでっちあげるのなら、対戦相手が君が望むことができるようにしておかなければならない。対戦相手のライフが4のときに、2/2が4/4に向かって突っ込んでいくときと同じだ――そう、君は手札に巨大化があるとちらつかせているかもしれないが、対戦相手は他に選択肢がないからブロックするだろう。思考を植え付けること自体に価値はないんだ――それによって将来の利益を得て、ようやく意味が出てくるんだ。君が思考の植え付けに成功しても、対戦相手が対処できることが何もなければ利益にならない。
例として、最近Mark Nesticoの記事にも上がっていた、Ross MerrianとPatrick Sullivanの試合を見てみよう。
【動画:28:19あたりにタグ付き】
https://www.youtube.com/watch?v=rhWXEKbtCiw
このゲームをPatrick Sullivanの視点から見ていたら、起きなければならないあることに気づくだろう――Rossが不毛の大地をタップしなければならない。発展の代価による6点ダメージがなければ、手札にゲームを終わらせるに十分なマナ/火力はなかったのだから。Rossをタップアウトさせる唯一の方法は、彼が死んでしまうかもしれないと思うようなシナリオ組み上げることだ――硫黄の渦を破壊しなければならないと思わせるシナリオを。
Patrickはこれをかなりスーサイドなやり方で成し遂げた――必要ないのに、自身のライフを1まで下げて(火炎の裂け目を次のターンにキャストしてもよかったのに、だ)、Rossの頭に自分が止めを刺そうとしていることを強く印象付けた。必要もなくメインフェイズにフェッチランドを起動し、こちらは自身のライフ総量に無頓着であり、まだまだプレイできる呪文があるとRossに信じ込ませてしまった。だからRossはまんまと乗せられて硫黄の渦を破壊し、それが自分に止めを刺す結果となった。ここまではいいだろう。
だけど、より深く分析すると、どちらのプレイヤーにももっといい選択肢があったように思えるんだ。主な問題はPatrickが一番大事な点に失敗しているということだ――彼はRossに逃げ道を用意しなかった。PatrickがRossに止めをさせるだけの火力を持っていたとしたら、とっくに止めを刺していたはずだ。Rossのライフは9点なのだから、Patrickは稲妻+電撃破+渋面の溶岩使いの合計9点でも、火炎破+火炎破+溶岩使いの10点でも。他にありえるシナリオ(稲妻+稲妻)は、合計で6点しかないから、硫黄の渦がダメージを与えていたとしても、Rossは死なない。ここで組み上げたシナリオでは、たとえ君がRossに止めをさせると思い込ませることに成功しても、彼には回避する手段がないのだから、防ぐ努力をする必要がないんだ。そのうえPatrickは、Rossが群れ仲間を生贄に捧げれば1ターンの間ブロック+溶岩使いで凌げてしまうというシナリオを作り上げてしまった。そうなったら、群れ仲間のダメージが実際に重要になるのだから、この起動はよりためらわれるだろう。
僕には、ここでありうる最善のプレイはRossに逃げ道を残してあげるようなものにするべきで、例えばこんなやり方だ――単純に稲妻の連鎖をプレイしない。代わりに、樹木茂る山麓を生贄に捧げて、火炎の裂け目をプレイし(Rossのライフを9にして、自分のライフを1に)、エーテル宣誓会の法学者を溶岩使いで除去する (山麓の起動や法学者の除去はすぐでなくてもいいが、重要なのは稲妻の連鎖をプレイしないことだ)。
これにより、Rossからしたら硫黄の渦を破壊すれば稲妻+火炎破や火炎破2枚を受けても生き残れるのだから、そうしたくなる動機はぐっと上がる。もしもRossがタップしたら、まだであれば溶岩使いを法学者に撃って、発展の代価と火炎破で止めだ。もはやRossにとって止めを刺すためアタッカーは十分にいて、群れ仲間も硫黄の滝のダメージも不要という事実が、ターン終了時に硫黄の渦破壊を起動するもう一つの理由となる。
ときには、ちょっとした誘導も必要だ
状況によっては、対戦相手に自分が見せかけたいシナリオが見えやすくなるように手助けしてあげることも役に立つ。うっかり自分の反対側にいる人間のことを甘く見たら大変なことになりえるが、自分が手伝っていることに相手が気づかないくらいのちょうど良い塩梅を見つけてあげれば、君は一等賞をもらえる。PatrickがRossに硫黄の滝を破壊させるために樹木茂る山麓を起動したのはこのいい例だ――そうする必要はなかったが、Rossを「正しい」方向にじりじり導いたのだ。
【画像:朽ちゆくヒル】
PTサンディエゴで、Luisの対戦相手が朽ちゆくヒルを、Luisがアンタップ状態の樹木茂る山麓をコントロールしていたときのことを覚えている。Luisは対戦相手に朽ちゆくヒルをパンプして欲しくなかったから、樹木茂る山麓によって稲妻があると見せかけようとしたんだ。だけどLuisからすると対戦相手がアンタップ状態の樹木茂る山麓から稲妻を連想できるかわからない。そこで何をしたと思う?メインフェイズにフェッチランドを起動して山を立てたままターンを返したんだ。これによって対戦相手はLuisが赤いカードを構えていると信じ込んで、朽ちゆくヒルをパンプしなかった。
効果は薄くなるかもしれないが、もうちょっと直接的にやる方法もある。FNMでプレイしていたときのことだ。赤単の対戦相手が4マナを立てており、墓地には2枚の地獄火花の精霊がいた。僕の手札には謎めいた命令があって濃霧として使おうと思っていたが、本音を言えば相手がタップアウトして両方の地獄火花の精霊を釣り上げてもらってから使いたかった。対戦相手は2マナをタップして片方を蘇生し、僕はもう片方も同じように蘇生してもらおうとして、端的にこう聞いてみた。「墓地にはもう一枚ありますよね?」彼は見て、「うん」と答えて、もう片方も同じように蘇生し、僕は両方をタップした。僕が問いかけなくても彼は同じようにしただろうか?わからない、でも僕の質問が少しでもそれを促したと思いたいな。
もちろん、以上の例はどれも具体的にすぎるシナリオだ――この手の話では、どの例も個別的なものになってしまう。だけど僕がこの記事を通して、対戦相手の心に思考を乗っける一般的な過程をみんなに伝えられて、みんなが自分の置かれた状況でそれらを応用できたらいいと思っているよ。
コメント
読みやすく日本語としての違和感がない
文脈がしっかりしているのはPVの原文のおかげですね。
長いぶんとても丁寧で、読んでいると真面目な人柄が伝わってきます。